webサイト雛形にて汽水空港として紹介しました。
https://www.hinagata-mag.com/column/38888
“いったい私たちの毎日の生活を生きるかいあるように感じさせているものは何であろうか。ひとたび生きがいをうしなったら、どんなふうにしてまた新しい生きがいを見いだすのであろうか。”
長島愛生園にてハンセン病患者の精神医学調査を担当した神谷美恵子が綴る人間の生きがいについての考察。ハンセン病と診断された患者たちは、それまでの日常で身につけてきたあらゆる身分を剥奪され、隔離され、差別され、「生きがい喪失の深淵」を彷徨ったと記録されている。そのような状態に置かれた彼らの精神と共にありながら、しかし淡々と彼らの心に再び希望や生きがいを見いだす心理が描かれている。
信じていた基盤が揺らぎ、日常で欠かせぬ習慣となっていたことが突如として終わる。病に罹る。大切な人が死ぬ。私たちはそれぞれに一回限りの人生を生きているから、これらの事態に対して予め練習しておくことはできない。しかしそうしたシチュエーションに直面した時には先人たちの言葉が助けになるはず。人間には想像力も備わっている。言葉によって知り、まだ見ぬ未来、まだ見ぬ他者の立場をイメージし良い世界をつくろうとすることはできる。