著者 小森真樹
発行 太田出版
2026年2月22日に著者・小森真樹さんを招いて開催したトークイベントの音声データがオマケでつきます。
(データはmailにて添付します。)

インスタグラムに投稿した読書感想文寄りの本の紹介と宣伝文です。
『歴史修正ミュージアム』
著者 小森真樹
発行 太田出版
武蔵野大学人文学部教授でありミュージアム研究者の小森さんが、約一年間かけて45都市のミュージアムでフィールドワークを行なった。その旅を通じて思い至ったのは、
”-今日のミュージアムが果たしているのは、単なる”文化保存や展示”ではなく、むしろ”語られてこなかった歴史の修正”なのではないか?”
という問いだった。
小森さんは「歴史の修正」には、2つの異なる方向で成されるものがあるという。
“ひとつは、変わりゆく社会や制度、それに基づく新たな歴史の語りに不満を抱える人びとが、情動や陰謀、不寛容な信念に駆られて、進歩や包摂の成果を”書き換える”動きだ。人権、多様性、公平性といった理念を敵視し、歴史の修正を武器に変えていく。”修正=攻撃”へと反転させる力である。”P.20
ホロコースト否定論や従軍慰安婦問題への反発などがこれにあたる。
“そしてもうひとつは、黙殺された声をすくい上げ、抑圧の構造を可視化し、語りの制度を問い直すための”誠実な修正”の力である。これは、批判と対話、連帯と再構成によって歴史を組み替えようとする力だ。”p.20
誰の声に耳を閉ざし、そして誰の声に耳をひらくのかという問題。
「どの歴史を記録し、どの声に正統性を与えるのか。記憶の制度をめぐって、ふたつの”修正”が激しく対立している。」ということがアメリカだけでなく、世界各地で起きている。
日本に暮らしていても、この問題に暮らしのなかで悩まされる人も多いのではないだろうか。本書には両論併記ではなく、衝突をさらに深化させるのでもない、「別の道」に続くヒントがたくさん散りばめられていた。
何を展示し、何を展示しないのか。その選択には常に偏見が入り込む。また、ミュージアム自体が何を「芸術」と判断してきたのかという認識自体にも批判を向けられるべき歴史がある。西洋社会の人々がつくるものを「芸術」とし、先住民族がつくるものを「文化/資料」とするその線引の根拠は?また、外の土地を植民地にすることによって得た富で成立している国、そしてその国につくられたミュージアムの成り立ち自体にも批判が向けられてきた。その果てで、今ミュージアムが何を展示するのか。過去と現在、変わりゆく社会や価値観の合流する地点、批判の切っ先で表現をすること。その現在地がミュージアムに現れる。
小森さんがフィールドワークを通じて感じた各都市、各ミュージアムの現在地は、「別の道」を見出そうとしたひとつひとつの実践の記録でもある。作品を鑑賞するだけではなく、ミュージアム自体を表現として受け取る新たな眼差し方を教えてもらったように感じた。
“「歴史を修正する」とは、過去を好き勝手に書き換えることではない。誰の声も記録されないまま消えていくことのないよう、言論の構造を見渡しながら均衡をとることである。すなわち、語り直す権利を再分配することだ。誰しも参加可能な状態に置くこと。そうしたミュージアムの政治性と公共性に支えられた修正の営みこそが、本書の提案する「歴史修正ミュージアム」の核心である。さあ、ミュージアムから「歴史を修正する」旅をはじめよう。”p.21
是非読んでみて欲しいです。
そして!今月22日(日)にはこの本を書いた小森真樹さんが汽水空港に着陸し、トークイベントを開催することになりました。
告知画像はまだつくれていないので、ひとまずはイベント概要だけお知らせします。(詳細はまた近々upしますので、ひとまず興味のある方は22日の夕方時間を明けておいてくださると幸いです。)
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困りごとから制度への”滑走路”について考える——町議・汽水空港店主と語る『楽しい政治』と『歴史修正ミュージアム』
モリテツヤ×小森真樹
日時 2月22日 18時~20時
入場料 (まだ決めてませんが、そんなに高くならない予定)
町議になった汽水空港店主・モリテツヤさんが、ミュージアム研究者の小森真樹を迎える対談。テーマは「困りごと」から「制度」までの“滑走路”。本屋のカウンターと議場の机を行ったり来たりしながら、日々のモヤモヤをどう拾い、どう言葉にして、議会や行政の手続きへ“着陸”させる?
『楽しい政治』が示す「政治を遠い専門領域から引き戻す」視点と、『歴史修正ミュージアム』が描く「語りの制度」の力学も手がかりに、ローカルの現場で何が翻訳され、何がこぼれ落ちるのかを一緒に考えます。政治はテレビやネットや選挙の中だけじゃない。たぶん、本棚のあいだにもある。あなたの“困りごと”も持ち込み歓迎。衆院選後、寒い湯梨浜で肩の力を抜いて考える、そんな夜を目指します。みんな、ぜってぇ来てくれよな!
そして本も読んでくれよなっ!
みなさまのご着陸を心よりお待ち申し上げます✈️

