著者:小平麻衣子
発行:以文社
〈書きかえ〉の日本近代文学史
何かを書きつけたい切望、そしてその周囲に生じるさまざな権力関係(=書きかえ)。
男性作家や批評家が、いかに女性「作家」を文学的な「評価」から排除してきたか、そのレトリックをあぶり出し、それに対する女性たちの、(いわゆる「抵抗」に限定されない)その切望や逡巡、そして文学的操作までを、〈書きかえ〉という権力関係の現れから読み解く、かつてない文学史。
「インターネット上での先行記事をなぞることを厭わない文章の増殖」「SNSでの引用という行為」など、現代的な諸問題・諸実践ともつながる、その「空虚とみなされかねない過去を、切り裂かれた裂け目として書きかえる」試み。
文学という“虚構がつくるジェンダー“と、“ジェンダーそのものの虚構性”は、いかなる関係を「現実」において切り結ぶのか?
計10編からなる、明治末期から昭和40年代までの「女性の書き手が社会に認知されるまでの軌跡」を描き出した論文集。
著者プロフィール
慶應義塾大学文学部教授。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学(1997年)。博士(文学)。専門は日本近代文学、ジェンダー批評。
著書に『女が女を演じる──文学・欲望・消費』(新曜社、2008年)、『夢みる教養──文系女性のための知的生き方史』(河出書房新社、2016年)、『小説は、わかってくればおもしろい──文学研究の基本15講』(慶應義塾大学出版会,2019年)。
編著書に『文芸雑誌『若草』──私たちは文芸を愛好している』(翰林書房、2018年)、『文藝首都──公器としての同人誌』(翰林書房、2020年)などがある。