"守屋 亜記子 編
公益財団法人味の素食の文化センター 企画
発行 平凡社
宮廷料理、料理書、安東チムタクなど、独自の発展を遂げる韓国・北朝鮮の食文化の変遷を豊富な資料をもとに読み解く。2022年度「味の素食の文化フォーラム」公式本。
[巻頭言]
人類の食の問題を考えるヒントに(池谷和信)
[序 章]
東アジア食文化の普遍性と地域性(守屋亜記子)
[第Ⅰ部] 近代以降の朝鮮半島の食―歴史の視点から
第1章 韓国宮廷料理の過去・現在・未来(丁 ラナ)
朝鮮王朝における宮廷料理文化/宮殿、食べ物があった空間/宮廷料理を手がけていた人々/何をどのように食べたのか/宮廷料理に込められた思想/宮廷料理の活用および伝授
第2章 境界と混種 植民地時代(一九一〇―一九四五)朝鮮半島の三重食卓(周 永河)
はじめに―植民地二重都市の三つの民族食/植民地近代都市の朝鮮レストラン/在朝日本人の集団居住と日本式産業食品/味の素の拡散/朝鮮華僑の中国料理店と食の名称の日本化/ハイブリッド・フードの誕生―チャプチェ(雑菜)と辛子明太子/おわりに―植民地時代以降の日本スタイルの食の変形
第3章 料理書の近代(韓 福眞)
近代韓国料理の料理本/印刷本のはじまりとベストセラー/調理教育教材/レシピの標準化/簡単な韓国料理? 手のかかる韓国料理?/韓国に紹介された外国料理vs.海外に紹介された韓国料理/朝鮮王朝宮廷料理の継承
[第Ⅱ部]地域から見た食文化
第4章 平壌地域の飲食文化研究(李 愛欄)
はじめに/平壌温飯/ユネスコ無形文化遺産「平壌冷麵風習」/平壌魚粥(鶏粥)/大同江スンオクッ(ボラ汁)/平壌緑豆チヂミ/豆もやしのキムチ/平壌ノチ/御腹錚盤
第5章 安東チムタクの発明・拡がり・再活性化(裵 永東)
安東チムタク、一九八〇年代に作られた郷土料理/フライドチキンの韓国への流入と拡がり、韓国式ローカライズ/フライドチキンのローカライズへの対応としてのチムタクの発明/アメリカ風揚げ調理法の代案として選ばれた蒸し煮調理法/安東チムタクの首都圏進出と全国への拡がり/チムタクブームによる安東チムタク発祥地の新たな変化/グローバル化時代の安東チムタクの再活性化と販売の多角化
第6章 料理家の私的食卓史 日本生まれの韓国人の食における越境、変化と回帰(コウ静子)
はじめに/私的食卓史の原点/食卓を彩るものとその変遷/料理家としてのクリエイションと地域性について―梅干しとキムチ/料理家として食文化を担うということ―越境、変化と回帰/韓国伝統茶を現代的に再構築すること/結び
[第Ⅲ部]食のグローバル化
第7章 朝鮮半島の食の経済 過去から現在、そして未来へ(林 采成)
はじめに/フードシステムの戦後再編と食糧自給化/食生活の変化と食品産業の成長/K-FOODの浮上と食品輸出/おわりに
第8章 韓国食文化の変遷 過去と現在、そして、未来(鄭 惠京)
食文化と社会/現代におけるアノミー的食文化/韓国食文化の変遷過程/韓国食文化の未来
[総括]朝鮮半島の食の中核にあるもの(守屋亜記子)
はじめに/東アジア及び朝鮮半島の食文化に関する先行研究/朝鮮料理の調理実習を通した交流/四一年間の韓国社会及び食文化の変化/四一年間変わらなかった食文化
[コラム]
宮廷の調理道具と熱源(李 昭姈)
宮殿と厨房/宮殿の調理道具/加熱調理器具
私と北朝鮮料理(李 愛俐娥)
モスクワの平壌レストランで/温飯とゆで卵
カザフスタン高麗人の日常食における混淆性
カザフスタンの高麗人ディアスポラ/高麗人の日常食の混淆性/高麗人料理の民族アイデンティティと混淆性
韓国の多文化家庭の児童・青少年の食生活と健康状態(宋 受珍)
国際結婚家庭の増加/青少年健康実態調査/効果的な栄養改善運動を
[特別コラム]
「食文化」ということば(石毛直道)
文化としての食/東アジアの食の文化/シンポジウムからフォーラムへ
韓国の食文化における「地域」について(朝倉敏夫)
はじめに/朝鮮半島の地域性/南北(韓国と北朝鮮の区分)/海外コリアン/おわりに
[資料]
朝鮮半島地図
韓国・北朝鮮の基礎データ
年中行事と食
朝鮮半島の食文化・社会、日本の社会に関する年表
あとがき(守屋亜記子)
執筆者紹介 "版元HPより